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リハビリの日々…加藤被告の手紙は「しびれ大きく、読んでいません」(産経新聞)

2010.03.10
【法廷ライブ 秋葉原殺傷 第4回公判】(8)

 《検察側は、加藤智大被告に刺されて重傷を負い、下半身まひなどの後遺症が出たHさんに、事件当時の状況を、地図を使いながら詳しく聞いている》

  [フォト]笑顔で凶器のナイフを購入する加藤被告

 検察官「あなたが倒れていた位置はどこですか」

 証人「中央通りの中央付近です」

 《Hさんは検察官に促され、倒れていた位置を地図に「A3」と書き込んだ。事件現場となった交差点の中央付近だ》

 検察官「怪しい男はどこにいましたか」

 証人「覚えていません。記憶が断片的で、トラックが止まってから10秒たたないうちに自分が倒れていたような記憶もあります…」

 検察官「当日はどういう服装でしたか」

 証人「オレンジのTシャツでしたが、色あせていて黄色っぽくなっていました。下は青いジーパンに茶色っぽい靴でした」

 検察官「写真を見ても(精神的に)大丈夫ですか」

 証人「大丈夫です」

 《本人の確認を取った上で、検察側はHさんが写っている当時の被害現場のものとみられる写真をモニターに示し、質問を始めた。傍聴席から見ることができる大型モニターには映されていない》

 検察官「自分が写っているのが分かりますか」

 証人「分かります」

 検察官「間違いないですか」

 証人「はい、間違いありません」

 《検察側は、Hさんに写真に写っている自分に印を付けさせた後、現在のHさんのけがの状況に関する質疑に移った》

 検察官「当日、病院に搬送されて手術を受けましたね?」

 証人「はい」

 検察官「医師からは『一生、車いす生活になるかもしれない』と言われましたか」

 証人「言われました。『覚悟してください』と…」

 検察官「どう思いましたか」

 証人「ショックでした」

 検察官「病院に運ばれてから、傷の痛みはどうでしたか」

 証人「刺された場所がかなりの痛さでした。麻酔は打ちましたが痛かったです。刺されたときは感覚がなかったのですが、傷を縫う手術のときは本当に痛かったです」

 《Hさんはしっかりとした口調で当時の治療の様子を語る。加藤被告はうつむき加減の姿勢で微動だにしない》

 検察官「病院では立ったり歩いたりすることはできましたか」

 証人「1~2週間は寝たきりで、それから立つ練習が始まり、その後、平行棒を使った歩行練習をしました。その場で立てるレベル止まりでした」

 検察官「その後、リハビリ病院に転院しましたね」

 証人「はい」

 検察官「転院したときは車いすでしたか」

 証人「はい」

 検察官「リハビリ病院ではどんなことをしましたか」

 証人「歩行練習と筋力トレーニングを毎日していました」

 検察官「どんな気持ちでしたか」

 証人「とにかく当初、自力で歩けるようになると聞いていたので、がんばりました」

 検察官「そのとき苦しかったことは、どんなことがありましたか」

 証人「病院から配慮はありましたが、周囲から(秋葉原無差別殺傷事件の)被害者と思われるのが嫌でした」

 検察官「退院時は車いすでしたか」

 証人「使っていません。つえなどは使っていました」

 検察官「仕事に復帰したのはいつでしたか」

 証人「退院してすぐです」

 検察官「どう思いましたか」

 証人「会社に迷惑をかけたと考えていましたし、仕事が忙しかったので、少しでも早く復帰して役に立てればと思いました」

 検察官「今もその会社で働いているのですか」

 証人「はい」

 検察官「会社の人たちからは、どのように言われましたか」

 証人「『戻ってきてくれてありがとう』と言われました。少しは頼りにされているのかなと思いました」

 検察官「事件前後では何が変わりましたか」

 証人「体が不自由なので、できないことが多くなりました。頭では思っても、その通りに動くことができず、やきもきすることがあります。例えば物を運ぶときとか、階段を上がるときとか…」

 検察官「何気なくしていたことができなくなったということですか」

 証人「はい」

 検察官「トイレに行くときとかも大変になりましたか」

 証人「そうですね。おしっこも大(便)の方も、もよおすという感覚がありません。おしっこは時間を見て管を入れて出しています。大もおむつをしていますが、時間を見て(便を)自分でかき出しています」

 検察官「誰かにやってもらっているのではなく、自分でやっているのですか」

 証人「もちろんそうです」

 《今でも大変な苦労をしていることが十分に読み取れる話だが、Hさんは声色が変わることもなく淡々と語る》

 検察官「被告から手紙がきましたか」

 証人「はい」

 検察官「読みましたか」

 証人「読んでいません」

 検察官「なぜですか」

 証人「封を開けましたが、枚数が多かったのと、そのときは体のしびれが大きかったので…。それと弁護士から書かされている感じもしたし、内容を見ていないので何とも言えませんが、言い訳しか書いていないと思いました。裁判での印象をよくするために手紙を書いたのかなと…」

 検察官「読む気にはなれないというということですか」

 証人「そのうち読むと思いますが、まだ読むときではないと思います」

 検察官「裁判で証言することについて、不安やストレスに感じたことはありますか」

 証人「体が不自由なので、トイレが心配です。また、同じ姿勢を続けていることができないので、それも心配です」

 《はっきりとした口調で検察官の質問に答え続けるHさん。対する加藤被告は一点を見つめて身動き一つしていない》=(9)に続く

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